PDCAとは
●Plan(計画)とは、
- 目標の設定
- 目標を達成するためのアクションプランの作成
を意味しています。プランニングを行う際は、
- 誰が(Who)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
- いくらで(How much)
という5W2Hの要素を意識して検討を重ねます。
目標やアクションプランの設定は、PDCAを回す際のスタート地点になるもの。数字で把握できる指標を積極的に用いるなどして、誰が見ても分かりやすく、具体性のある目標やアクションプランを設定することが重要。
●Do(実行)は、Plan(計画)で立案した目標やアクションプランをもとにした実行を意味しています。
ただし、ここでいう「実行」の意味は、「計画に従って着実に業務を遂行していくこと」だけではありません。「試行」という意味も含まれているのです。
Do(実行)では、
- 計画を実行に移してみた結果、それが有効だったのか
- もっと別の方法が考えられないか
などを検証する段階でもあります。よって、
- 一度にすべてを行わない
- 目標に対しての進捗度や結果を記録
- 時間を計るなどで数値的な結果が得られるように行動
- 計画通りに進まない場合にも、その旨を記録する
ということがポイント。
●Check(評価)は、
- 設定した目標やアクションプランが達成できているか
- 計画通りに実行できたかどうか
について評価する段階のこと。計画通りに進まなかった場合は、その原因の分析をします。計画通りに事が進んだ場合も、成功要因の分析を行い、どちらにおいてもPlan(計画)で立てた数値目標を検証のテーブルに載せます。
数値を具体的根拠として、具体性を持った検証結果としてまとめあげることが求められるのです。
●Action(改善)では、前段階のCheck(評価)で明らかにした分析・検証課題について改善点を考えていきます。改善点を考える際には、
- 引き続き計画通りに進める
- 計画を続ける中で、いくつかの視点を改善
- 計画を中止、延期する
など、選択肢を多く持つようにし、その中からこの先の課題を検討、決定していくのです。
●メリット
目標ややるべき課題が明確になること。
- 組織や個人の目標を明確にできる
- 明確になった目標に向かって改善へのアクションを実行できる
2点が具現化されるのです。個人でも企業のように大きな組織でも、目標設定は不可欠でしょう。
目標がなければ、
- 本来達成すべき着地点とのズレを生じさせてしまう
- 具体的な施策を考えることが難しくなる
といった状況に陥ります。企業活動は、設定した目標をクリアしていくことで事業を拡大できるもの。
数値的指標などを用いて明確に目標設定を行うPDCAの導入は、
- 目標達成や問題解決に向けた道筋を立てることができる
- 個人や組織のやるべきことを明文化することで、明確な目標を掲げることができる
という点で、大きなメリットをもたらすといわれています。行動に集中しやすくなる2つ目は、行動に集中しやすくなること。Plan(計画)の段階で、あらかじめ目標やアクションプランが定められるため、
- 自分が何をしなければならないか
- 組織に何が求められているのか
を明確に理解できます。
目標やアクションプランへの理解は、行動や作業への集中に大きく影響を及ぼすもの。Plan(計画)で立案した目標や計画に向かって集中力を高められれば、生産性の向上も見込めるでしょう。
●課題や不足が分かりやすい
3つ目は、課題や不足が分かりやすいこと。
PDCAは最初の段階で、数値的指標や定量化できるものをフルに活用して目標が設定されます。その目標の達成やアクションプランの実現に向けて集中し、行動していくことで、
- 目標に対する成果や失敗
- アクションプランに対する達成度や未完成度
といった目標と結果の乖離も明確に見えてきます。
その結果、
- どのように行動すれば改善できるのか
- 何を変えれば向上するのか
などについて考えやすくなるのです。
PDCAを導入すれば、明確な目標だけでなくそれに向かっての集中度、目標と結果の乖離などの課題を明らかにできます。
●Plan(計画)における失敗要因は、
- 設定した目標までの工程が描けていない
- 現状分析や現状把握ができていない
PDCAの考え方の根本は、仮説と検証にあります。PDCAは、仮説を立てて仮説に基づき実行し、その結果を検証することで新しい仮説を立てていく循環構造。
しかし、最初の仮説がお粗末であれば、仮説に基づく実行やその検証作業もお粗末なレベルに終始し、満足な結果は得られません。
仮説でも、目標の達成や課題を解決できるアクションプランとして具体的なイメージを持てるかが、成否の大きな分岐点となるのです。
●Doにおける失敗要因
Do(実行)における失敗要因は、計画性のないプランの実行にあります。
- がむしゃらに頑張ればいい
- とにかくやるだけやるしかない
- できることからどんどん始めよう
といった無計画なプランの実行は、効果的な結果を生み出しません。また、目標が長期的だった場合、直近の進捗が見えにくいようでは、結果を意識するチャンスを逸します。
長期目標を短期目標にブレイクダウンしたり目標達成に向けて綿密な計画を立案したりといったことは、PDCAに欠かせない要素です。
●Checkにおける失敗要因
Check(評価)における失敗要因は、チェック基準の曖昧さです。
- 全体的に合格点だ
- そんな感じで進めていいと思う
- もう少し頑張ってみてほしい
といった抽象的で曖昧なチェック基準では、PDCAを効果的に活用できません。
PDCAにおけるチェックは定量的な視点から結果を判断したり数値的指標を基準として、具体的な検証作業をしたりする必要があるのです。
また、内部チェックだけで済ませようとすれば、
- 判断基準が甘くなる
- 見逃してしまう部分が出てくる
ことも。その場合、外部の視点から厳しくチェックしましょう。確実な業務改善へと組織や個人を導いてくれます。
●Actionにおける失敗要因
Action(改善)における失敗要因は、改善に向けた確実な行動があるかどうか。
- 数値化された指標
- 外部の厳しい視点
からチェックして改善点が分かっても、改善に向けた行動が着実に実行されなければPDCAのサイクルは途中で頓挫してしまいます。
- 改善に向けて、可能性のあるものはすべて試してみる
- 改善に向けて行動してもらちが明かなければ、思い切って課題自体の見直しにも着手する
- 途中で投げ出さず、目標に向かって実行と検証と再設定を何度でも繰り返す
といった高い志を持ってPDCAのサイクルを回す覚悟がないと、PDCAの失敗という最悪な状態に陥りかねません。
●目標は数値で、計画は具体的に詳細に
1つ目は、目標を数値で提示し、計画は具体的に詳細に立案すること。PDCAがうまくいかない一番の原因は、最初のPlan(計画)。
その理由は、
- 目標を数値で定量的に示していない
- 抽象的な計画で深掘りされていない
という点にあります。
「営業成績を向上させよう」という目標設定より、「新規顧客を10件獲得し、既存顧客300件にもアプローチをして、売り上げを前年同月比20%アップさせよう」といった数値的指標のほうが次のアクションを実行しやすくなります。
具体的な数字を意識した目標設定は具体的なアクションにつながり、結果、効率的な業務推進へとつながるからです。
- 目標を設定する際には、現状分析から出発
- 目標には定量的、数値化できる指標を活用
- 目標の達成をジャッジするため、目標に期限を設定
などができれば、PDCAを効果的に回すことができます。SMARTの法則を活用するなどして、目標設定には十分な配慮をしてください。
●計画通りに実行する
2つ目、計画通りに実行すること。目標やアクションプランを設定したら、必ず計画通りに実行しましょう。計画通りに実行しなければ、その計画が良かったのか悪かったのかという検証が不可能になってしまうからです。
- あとあと、評価や分析がしやすいように活動記録を残す
- 計画通りにいかなかった場合には、その状況や課題が分かるように記録しておく
- 結果の良し悪しを客観的に分析し、なぜそのような結果が導き出されたのかを振り返る
これらの行動を含めて、Do(実行)の中身を構築することが、PDCAを効果的に回す鍵になるのです。
●無理のない計画にする
3つ目は、無理のない計画にすること。これは、PDCAにおけるすべての過程でいえることでしょう。
- 曖昧な計画を立てれば、実行すべき内容も不明確になってしまう
- 根本的な原因を見つけても、実行性の高い改善案に反映できなければ無駄に終わってしまう
ということになります。
回避するには、無理のない計画を立てることが重要でしょう。背伸びをせず、自分のできる範囲でPDCAを考えてください。自分の業務量との兼ね合いを考えることも、PDCAを循環させるうえで大切です。
●定期的に評価・確認する
最後は、定期的に評価・確認すること。一般的にPDCAは、通常業務にプラスして導入されることが多いため日々の業務に追われて、長期目線の目標を後回しに考えてしまうことが多いでしょう。
目先の業務で手いっぱいになれば、PDCAの循環スピードは落ちます。しかし、PDCAを効果的に活用するには、定期的な確認や分析といったPDCAのメンテナンスが欠かせません。
毎週金曜日にPDCAを評価・確認する時間を設定するなどPlan(計画)に対する進捗の確認や現状の分析、次の改善策の提案を定期的に行うことで、PDCAの好循環を維持できます。